この記事の執筆者
宮田 翔平
宮田動物病院院長。静岡県沼津市で60年以上続く地域密着の動物病院として、飼い主様に寄り添った丁寧な診療を心がけています。
犬や猫の慢性疾患の治療や介護が続くと、「この子のために頑張らなければ」と思う一方で、飼い主様自身が少しずつ疲れてしまうことがあります。
食事を食べさせる、薬を飲ませる、点滴をする、夜中も様子を見る。ひとつひとつは必要なことでも、それが毎日続けば大きな負担になることがあります。
宮田動物病院(静岡県沼津市)では、動物の状態だけでなく、飼い主様が治療や介護を無理なく続けられているかということも大切にしています。
この記事では、治療や介護に疲れてしまったときに動物病院を頼ってもらいたい理由と、当院で実際に行っているサポートについてお話しします。
慢性疾患の治療は、数日で終わるとは限りません。
腎臓病などで定期的な通院や点滴が必要になったり、自力で食べることが難しくなったり、寝たきりになって体位を変える必要が出てきたりすることもあります。
飼い主様は、
「ちゃんと食べさせなければ」
「薬を忘れてはいけない」
「少しでも変化があったら気づかなければ」
と、毎日のようにその子のことを考えていると思います。
そのお気持ちは、治療を続けるうえでとても大切です。
ただ、飼い主様がずっと緊張した状態でいると、体力的にも精神的にも疲れてしまうことがあります。
診察室でお話ししていて、
と感じることもあります。
そのようなときには、動物の治療だけではなく、飼い主様が少し休める方法も一緒に考えることが必要だと思っています。

当院では、飼い主様がかなり疲れてしまってから初めてお預かりを提案するのではなく、慢性疾患の治療を始める段階で、
「今後大変になったときには、日中だけ病院でお預かりする方法もありますからね。いつでもご相談ください。」
とお話しすることがあります。
実際に診察していて、
「今日は少し休んでもらった方がよさそうだな」
と感じれば、
「今日は病院でお預かりしましょうか」
と提案することもあります。
飼い主様が休むことも、その子の治療を長く続けていくためには大切なことだと思っています。
実際に当院で日中のお預かりや入院を提案することが多いのは、例えば次のような場合です。
例えば腎臓病などで体調が悪く、自分から食事を食べられなくなっている場合には、点滴などの治療を行いながら状態を見ていくことがあります。
ご自宅で食事や治療を続けることが難しい場合には、病院でお預かりするという選択肢もあります。
食事を入れるためのチューブが入っている場合など、ご自宅での管理が難しくなることがあります。
飼い主様のお仕事や生活状況によっては、日中だけ病院で食事やケアを行う方が続けやすいこともあります。
自分で寝返りを打てない子では、長時間同じ姿勢にならないよう体位を変えてあげる必要があります。
ただ、飼い主様がお仕事などで日中ご自宅を空ける場合、ずっと見ていることは難しいと思います。
そのようなときに、日中だけ病院でお預かりしてスタッフが状態を確認することもあります。
日中お預かりや入院を提案すると、
「自分が見てあげなくて大丈夫でしょうか」
「この子を置いて、自分だけ休んでもいいのでしょうか」
と心配される飼い主様もいます。
その気持ちも、よく分かります。
ただ、治療や介護は、飼い主様一人だけで行わなければならないものではありません。
当院では、
動物病院のスタッフも含め、みんなでその子を支えていく
という考え方を大切にしています。
ご自宅でできることは飼い主様にお願いし、負担が大きくなってきた部分は病院がお手伝いする。
そのように役割を分けながら治療を続ける方法もあります。

特に腎臓病の治療中の子で、
「食欲がないので、家で強制給餌をおこなっています」
というお話を聞くことがあります。
当院では、家庭での強制給餌をお願いすることはほとんどありません。
食べないということは、
など、食べられない理由があるはずです。
まだ治療によって状態を改善できる可能性があるのであれば、まずは点滴などの治療を行い、自分から食べたいと思える状態に近づけることを優先したいと考えています。
強制給餌は、実際にやってみると簡単ではありません。
嫌がる子に食事を入れることになるため、動物にとっても飼い主様にとっても大きな負担になることがあります。
毎日のように続けていると、
「自分を見ると逃げるようになった」
「食事の時間になると嫌がる」
「無理やり食べさせているようでつらい」
と感じる飼い主様もいます。
治療のために必要なことだったとしても、飼い主様とその子の関係までつらいものになってしまうのは、できるだけ避けたいと思っています。
状態によっては、入院して治療を行ったり、食道チューブなど別の方法を検討したりすることもあります。
どの方法が合っているかは、その子の状態やご家族の状況によって変わりますので、担当の獣医師と相談しながら考えていくことが大切です。
例えば慢性腎臓病。腎臓は、一度失われた機能が元通りになりにくい臓器です。
長く生きる中で、少しずつ腎機能に変化が見られる子もいます。
だからといって、年齢だけを理由に治療を諦めたり、「仕方がない」と考えたりするわけではありません。
血液検査や尿検査、症状、全身状態などを確認しながら、その子に必要な治療やサポートを考えていきます。
その一方で、
「病気になってしまった」
という見方だけではなく、
「それだけ長い時間、一緒に過ごしてきてくれたんだよな」
と少し目線を変えてみることも、長く治療を続けていく中では大切だと思っています。

動物は、自分で病院へ通うことができません。
飼い主様が病院へ連れてきて、薬を飲ませたり、食事を準備したり、毎日の状態を見たりしてくれています。
そのため、飼い主様が体調を崩してしまうと、その子の治療を続けること自体が難しくなる場合があります。
これは身体的な体調だけではありません。
気持ちの面でも同じです。
おうちの子の病気のことをたくさん考えていると、
「自分だけ楽しんでいていいのかな」
「自分だけ休んでいいのかな」
と思ってしまうこともあると思います。
ですが、治療を長く続けていくためには、飼い主様が休む時間も必要です。
少しお昼寝をする。
家族と食事に行く。
お風呂にゆっくり入る。
病院に預けている数時間だけでも、病気のことを考えない時間を作る。
そうした時間があってもよいと考えています。
このように、大切な犬や猫が体調を崩しているときに、自分だけ休むことに罪悪感を持つ飼い主様もいます。
その気持ち自体は自然なことだと思います。
ただ、飼い主様が疲れ切ってしまうことを、その子が望んでいるとは僕は思いません。
一人で全部を抱え込もうとせず、
「今日は少し病院に任せよう」
という日があってもよいと思います。
当院のスタッフも、その子を支えるチームの一員です。
治療や介護が大変になってきたときには、
「みんなでこの子を支えていきましょう」
という気持ちで相談してもらえたらと思っています。
飼い主様自身が、
「少し疲れてきたかもしれない」
と感じた段階で相談してもらって構いません。
例えば、
というときです。
「まだ大丈夫」「先生に相談することではない」と考える必要はありません。
少し余裕があるうちに、今後どのような方法があるのかを知っておくこともひとつの選択肢です。
犬や猫の慢性疾患の治療や介護は、長く続くことがあります。
その中で飼い主様が疲れてしまうことは、決して珍しいことではありません。
当院では、
などを、その子とご家族の状況に合わせて一緒に考えています。
治療や介護は、飼い主様一人だけで背負うものではありません。
宮田動物病院(静岡県沼津市)でも、動物だけではなく、飼い主様も含めて無理なく治療を続けられる方法を一緒に考えていきたいと思っています。
「少し疲れてきた」
「このまま家だけで続けられるか不安」
という段階でも、ご相談ください。