この記事の執筆者
宮田 翔平
宮田動物病院院長。静岡県沼津市で60年以上続く地域密着の動物病院として、飼い主様に寄り添った丁寧な診療を心がけています。
「愛犬が突然吐いたけど、すぐ病院に連れて行くべき?」「吐いた後は元気そうだけど、様子を見ていいのか心配」という不安を感じたことのある飼い主さんは多いのではないでしょうか。
嘔吐の原因はさまざまで、吐いた後すぐに元気になることもあれば、早めの対応が必要なこともあります。「いつものことだから大丈夫」という思い込みが、病気の発見を遅らせてしまう場合もあります。
本記事では、獣医師が動画内で解説している「犬の嘔吐の緊急性を判断する4つのチェックポイント」をご紹介します。すぐに受診すべきか、様子を見てよいかの目安もあわせて解説するので、いざというときの参考にしていただければ幸いです。
宮田動物病院(静岡県沼津市)では、救急から高度医療まで幅広く対応しています。愛犬の嘔吐で判断に迷ったときは、お気軽にご相談ください。
犬の嘔吐は、空腹や早食いなどが原因で一時的に起こることもあれば、早めの受診が必要な病気のサインであることもあります。
大切なのは、慌てずに吐いたときの状況やその後の様子を落ち着いて確認することです。
診察でも実際に確認している、次の4つのポイントをみていきましょう。
まず確認したいのが、「吐いた原因に心当たりがあるか」という点です。
例えば、次のような状況では、一時的な嘔吐であることも少なくありません。
「お腹が空きすぎると吐くことがある」「早食いをした後によく吐く」など、いつもと同じような状況であれば、比較的緊急性が低いこともあります。
ただし、その後も繰り返し吐く場合や、元気・食欲がない場合は、別の病気が隠れている可能性もありますので注意しましょう。

次に確認したいのが、吐いた回数です。短時間に何度も繰り返して吐く場合は、緊急性が高い病気が隠れていることがあります。
繰り返す嘔吐の原因としては、次のような病気が考えられます。
| 病気 | 特徴 | 注意したい犬 |
|---|---|---|
| 腸閉塞 | おもちゃなどを飲み込み腸に詰まってしまう | 比較的若い犬(高齢の犬では腫瘍が原因のことも) |
| 膵炎 | 膵臓に炎症が起こり、何度も吐くことがある | すべての犬 |
| 胃拡張・胃捻転症候群 | 吐こうとしても吐けず、よだれが出たり、急激に体調が悪化したりする | 特に大型犬 |
嘔吐を繰り返している場合は、「そのうち治まるだろう」と様子を見るのではなく、できるだけ早めに動物病院を受診してください。

吐いた物の色も、原因や緊急性を考えるうえで大切な手がかりになります。
| 吐いた物の色 | 考えられること | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 白い泡・黄色 | 空腹による胃液の嘔吐など | 1〜2回の嘔吐で、その後も元気・食欲があれば様子を見ることもあります |
| 赤色・血が混じる | 口の中や消化管などからの出血 | 早めに動物病院を受診 |
| ピンク色の泡 | 心臓病、肺水腫の可能性 | 緊急性が高いため、すぐに動物病院を受診 |
特に、もともと心臓病と診断されている犬がピンク色の泡状のものを吐いた場合は、肺水腫などの可能性も考えられます。すぐに動物病院を受診してください。
最後に確認したいのが、吐いた後の様子です。
吐いた後に元気や食欲があるかどうかは、とても大切な判断材料になります。
ただ、この項目は飼い主さんが一番「大丈夫だろう」と考えてしまいやすいポイントでもあります。
いつも通り元気があり、その後もごはんをしっかり食べているようであれば、様子を見られることもあります。
一方で、ぐったりしている、食欲がない、いつもの半分も食べないなど、普段と違う様子がみられる場合は注意が必要です。
大切なのは、「元気そうに見えるか」ではなく、「いつものその子と比べてどうか」という視点でみてあげることです。

ここまでの4つのチェックポイントをふまえて、すぐに受診すべきか、様子を見てよいかの目安を整理します。
| 判断 | 当てはまる状態 |
|---|---|
| すぐに受診 | ・短時間に何度も繰り返して吐く ・吐いた物が赤色、または血が混じる ・心臓病の犬がピンク色の泡を吐いた ・ぐったりしている、食欲がない、または普段より明らかに食欲が落ちている ・大型犬で、吐物が出ないのにえずく動作を繰り返す |
| 様子を見てよい可能性 | ・原因に心当たりがある(空腹・早食い・ストレス・車酔い) ・吐いたのが1〜2回 ・吐いた物が白い泡または黄色 ・その後も元気で食欲がある |
大切なのは、「吐いた」という事実だけではなく、原因や回数、吐いた物の色、その後の様子をあわせて判断することです。
少しでも判断に迷う場合は、ご自身だけで判断せず、かかりつけの動物病院へ相談してください。

インターネットには犬の嘔吐に関するさまざまな情報がありますが、その情報が必ずしもおうちの子に当てはまるとは限りません。
同じ「嘔吐」という症状でも、原因や緊急性は一頭一頭異なります。そのため、インターネットの情報だけで判断するのではなく、おうちの子の状態を踏まえて考えることが大切です。
今回ご紹介した4つのチェックポイントを確認していただくことで、受診の必要性を判断する参考になります。それでも迷う場合や、不安がある場合は、かかりつけの動物病院へ相談してみてください。
犬が吐いたときは、慌てずに「原因」「回数」「吐いた物の色」「吐いた後の様子」の4つを確認することが大切です。
短時間に何度も吐く、吐いた物に血液が混じる、ぐったりしている、食欲がないなどの様子がみられる場合は、早めに動物病院を受診してください。
宮田動物病院(静岡県沼津市)では、犬の嘔吐に対する一般診療から救急診療まで幅広く対応しています。嘔吐で判断に迷ったときや、ご不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。
なお、本記事の内容は、当院のYouTubeチャンネルでも動画で解説しています。実際の解説もあわせてご覧いただくと、より理解しやすくなります。