この記事の執筆者
宮田 翔平
宮田動物病院院長。静岡県沼津市で60年以上続く地域密着の動物病院として、飼い主様に寄り添った丁寧な診療を心がけています。
動物病院へ行こうとすると逃げてしまう、キャリーに入れようとすると怒る、普段は触れるのに病院へ行く日だけ捕まえられない。
猫の飼い主様から、このようなご相談を受けることがあります。
そのような子で、当院がおすすめしているのが洗濯ネットを使う方法です。
先に洗濯ネットへ入ってもらい、そのままキャリーへ入れて来院していただくことで、病院で猫が急に飛び出してしまうことを防ぎやすくなります。
今回は、宮田動物病院(静岡県沼津市)で実際に飼い主様へお話ししている、猫を動物病院へ連れて行くときの洗濯ネットの使い方や、どうしても捕まえられない場合の考え方についてお話しします。
普段は普通に抱っこできるのに、キャリーを出した途端に逃げる。
病院へ行こうとしていることを察して、ベッドの下や家具の隙間に隠れてしまう。
何とか捕まえようとすると威嚇してくる。
猫では、このようなことが時々あります。
飼い主様としては、
「予約しているから何とか連れて行かなければ」
と思うかもしれません。
ただ、猫も一度警戒すると、そこから捕まえるのがどんどん難しくなります。
そこで、病院が苦手な猫や、初めて行く病院でどのような反応をするか分からない子は、最初から洗濯ネットを使ってみるという方法があります。
当院では、猫の受診時に洗濯ネットをよく活用しています。
何度も診察していて、
「この子は病院でも落ち着いて診察できる」
と分かっている子であれば必要ないこともあります。
一方、初めて診察する猫は、病院に来たときにどのような反応をするのか分かりません。
お家では穏やかな猫でも、知らない場所や知らない人を前にすると、突然飛び出したり、強く警戒したりすることがあります。
そのため、初めて行く病院や、もともと病院が苦手な猫では、
お家で大きめの洗濯ネットに入れて、そのままキャリーに入れて来院する
という方法も一つだと思います。
ネットに入っていれば、キャリーを開けた瞬間に飛び出してしまうことを防ぐことができます。
また、診察の際にも猫の状態を見ながら洗濯ネットを活用できることがあります。

洗濯ネットを使おうとしても、
「そもそもネットに入ってくれない」
ということもあります。
その場合には、まず洗濯ネットの大きさを見直してみるのも一つです。
例えば、小さな入口の洗濯ネットを使い、無理やりその中に入れようとすると、それだけで警戒してしまいます。
できるだけ口が大きく開き、猫の体を包み込めるくらい余裕のある洗濯ネットの方が使いやすく、機嫌を損ねづらいと思います。
最初から「ぴったりサイズ」を選ぶ必要はありません。
猫を安全に入れやすいことを優先して、大きめのものを選ぶと使いやすくなります。
例えば、キャリーへ入れようとすると逃げてしまうけれど、大きなタオルをふわっとかけるとその場でじっとするタイプの猫もいます。
そのような子であれば、
タオルで視界を遮る
↓
タオルごと猫を包む
↓
その上から大きめの洗濯ネットへ入れる
という方法が使えることもあります。
ただし、これは怒っている猫を無理やりタオルで押さえ込む方法ではありません。
タオルをかけたことでさらに暴れたり、威嚇が強くなったりする場合には、無理に続けないでください。
あくまで、「周りが見えない方が落ち着く猫であれば使える方法の一つ」と考えてもらうとよいと思います。

それでも猫が逃げ回ったり、威嚇したりする場合があります。
その興奮状態で、
といったことを続けるのは危険です。
実際に、動物病院へ連れて行こうとして猫に噛まれたり、引っかかれたりして、飼い主様が大きな怪我をしてしまうことがあります。
たとえ、キャリーに入れることに成功したとしても、お家ですでに怒っている子が、不慣れな病院へ来て落ち着く、ということはあまり期待できません。
その状態までいっているのであれば、
「もっと頑張って捕まえよう」ではなく、一度病院へ相談する
という選択肢を考えてもらいたいと思います。
予約時間が迫ってくると、
「あと10分しかない」
「予約しているから絶対に連れて行かなきゃ」
と焦ってしまうことがあります。その気持ちはよく分かります。
ただ、そこで無理をして飼い主様が怪我をしてしまったり、猫がさらに興奮してしまったりするのであれば、一度病院へ電話してください。
午前中は難しそうなら、少し落ち着いてから午後にもう一度チャレンジしてくださいとお伝えすることもあります。
状態によっては日を改めることもあります。
ただし、
その症状が本当に翌日まで待ってよいものなのか
は、飼い主様だけでは判断しづらいことがありますので、
その時点で病院へ相談してもらうのが一番だと思います。
場合によっては、猫の写真や動画を先に見せてもらい、今の状態を確認することもあります。

猫を長い時間追いかけ回し、最後は無理やり捕まえて、そのまま病院へ連れて行く。
これを繰り返していると、
「捕まえられること」「キャリーに入ること」「動物病院へ行くこと」
が、すべて嫌な経験としてつながってしまうことがあります。
そうすると、次に病院へ行くときには、さらに早い段階から逃げたり、警戒したりするようになることもありますし、
飼い主様とも関係性が崩れてしまうことすらあります。
一回の受診に何とか間に合わせることだけではなく、これから先も必要なときに病院へ通えるようにすることも大切です。
その意味でも、どうしても難しいときには無理を続けず、病院へ相談してください。
猫が病院へ行こうとすると逃げる、キャリーに入らないという場合には、大きめの洗濯ネットを使ってみるという方法があります。
当院でも、特に初めて診察する猫や病院が苦手な猫では、洗濯ネットを活用することがあります。
ネットへ入りにくい場合には、より口の大きなネットを使ったり、猫によってはタオルで一度視界を遮ってからネットへ入れたりする方法もあります。
ただ、猫がすでにかなり怒っている状態で、追いかけ回したり無理に押さえ込んだりする必要はありません。
予約時間に間に合わせることよりも、飼い主様と猫の安全の方が大切です。
どうしても連れて来られない場合や、「今日は無理をしてでも行った方がいいのかな」と迷う場合には、一度動物病院へ電話してください。
その子の状態に合わせて、どのように受診するのがよいかを一緒に考えていきたいと思います。