この記事の執筆者
宮田 翔平
宮田動物病院院長。静岡県沼津市で60年以上続く地域密着の動物病院として、飼い主様に寄り添った丁寧な診療を心がけています。
半年ほど前から徐々にお腹が張るようになり、1か月ほど前から食欲の低下もみられるようになりました。
かかりつけ病院では血液検査や超音波検査などを受け、肝臓に異常がある可能性を指摘されていましたが、腹囲膨満が続いていたことから、詳しい検査を希望され、セカンドオピニオンとして当院を受診されました。
来院時の体重は26kgでした。
身体検査では著しい腹囲膨満が認められ、触診でも腹腔内に大きな病変が存在していることが疑われました。
食欲低下もみられていたことから、腹囲膨満の原因を詳しく調べるため、レントゲン検査と超音波検査を行いました。
レントゲン検査では、腹腔内の大部分を占める巨大な腫瘤性病変が確認されました。
病変によって腹腔内の臓器が圧迫され、大きく変位している状態でした。
さらに超音波検査を行い、病変の内部構造や周囲臓器との位置関係を確認しました。
これらの画像所見から、腹囲膨満の主な原因は肝臓ではなく、子宮や卵巣などの生殖器由来の巨大な腫瘤性病変である可能性が高いと判断しました。

(腹部レントゲン画像|腹腔内を占拠する巨大な病変が確認されました。)
レントゲン検査や超音波検査の結果から、外科的な摘出が必要な病変であると判断しました。
ご家族に検査結果や手術についてご説明し、相談のうえ外科手術を実施する方針としました。
開腹手術を実施したところ、腹腔内の大部分を占める巨大な病変が確認されました。
病変は左側の子宮から発生しており、病変を含めて摘出を行いました。
摘出した病変の重量は5.6kgで、来院時の体重26kgの約2割に相当する非常に大きな病変でした。
病理組織検査の結果、病変は子宮内膜ポリープと診断されました。
良性病変であり、完全に切除できていたことから、追加治療は必要ないと判断しました。

(腹腔内を占めていた巨大な子宮病変)
術後の回復は良好で、食欲も改善しました。
現在も再発は認められておらず、元気に過ごしています。
今回の症例では、他院で肝臓の異常を疑われていましたが、当院で改めてレントゲン検査と超音波検査を行ったことで、肝臓ではなく生殖器由来の病変である可能性が高いと判断することができました。
セカンドオピニオンでは、必ずしも高度な検査を追加することだけが目的ではありません。
これまでの症状や検査結果を改めて整理し、必要な検査を行うことで、別の視点から診断や治療方針を考えることも大切です。
今回のように、改めて病変を評価することで診断が変わり、その後の治療方針が大きく変わる場合もあります。

「治療を受けているけれど症状が改善しない」
「現在の診断や治療方針について、ほかの獣医師の意見も聞いてみたい」
そのような場合には、セカンドオピニオンを受けることも選択肢の一つです。
また、高齢だからという理由だけで、検査や治療を諦める必要はありません。
もちろん年齢とともに麻酔や手術のリスクは高くなりますが、年齢だけではなく、その子の現在の状態を評価したうえで治療方針を考えることが大切です。
当院では、これまでの検査結果や治療経過を確認したうえで、必要に応じてレントゲン検査、超音波検査、CT検査などを組み合わせながらセカンドオピニオンを行っています。
現在の診断や治療方針について迷われている場合は、お気軽にご相談ください。