この記事の執筆者
宮田 翔平
宮田動物病院院長。静岡県沼津市で60年以上続く地域密着の動物病院として、飼い主様に寄り添った丁寧な診療を心がけています。
「自宅で犬をシャンプーしたいけれど、正しいやり方がわからない」「シャンプーのたびに愛犬が嫌がり、うまく洗えない」と悩んでいる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
犬の皮膚の表面(表皮)は人間の約3分の1の厚さしかなく、とてもデリケートです。「しっかり洗ってあげたい」という思いから、シャワーの温度が高すぎたり、ゴシゴシと強くこすったりすると、かえって皮膚に負担をかけてしまうことがあります。
本記事では、犬の皮膚に負担をかけにくいシャンプーの3つのコツをご紹介します。基本的な手順や適切な頻度、特に難しいと言われることの多いシャンプー後の乾かし方についてもあわせて解説しますので、ご自宅でシャンプーをする際の参考にしてください。
宮田動物病院(静岡県沼津市)では、皮膚科のセカンドオピニオンにも対応しています。シャンプー中に赤みやフケなどの変化に気づいた場合は、お気軽にご相談ください。

愛犬のためを思って行っているシャンプーが、実は皮膚に負担をかけてしまっていることがあります。ここでは、自宅でシャンプーをする際に気をつけたいポイントをご紹介します。
| 注意点 | 理由 |
|---|---|
| 熱いシャワーで体を流す | 犬の皮膚の表面(表皮)は人間の約3分の1の厚さしかなく、とてもデリケートです。シャワーの温度が高すぎると刺激となり、かゆみや赤みの原因になることがあります(人も熱いお風呂に入ると肌がかゆくなることがあるのと同じです)。 |
| シャンプー原液を直接体にかけてゴシゴシ洗う | 原液をそのまま体にかけて泡立てると、皮膚への刺激が強くなります。 |
| タオルで強くこすって拭く | 濡れた皮膚は摩擦に弱く、強くこすると負担がかかります。 |
| シャンプーに長い時間をかける | 時間をかけすぎると、犬の皮膚だけでなく、犬自身の負担になることがあります。 |
これらに共通しているのは、「熱い」「ゴシゴシ」「長時間」が皮膚への負担につながるという点です。次の章では、皮膚に優しいシャンプーの3つのコツをご紹介します。


犬の皮膚に負担をかけにくいシャンプーをするために、まずは次の3つを意識しましょう。

犬の皮膚の表面(表皮)は人間の約3分の1の厚さしかなく、非常にデリケートです。そのため、シャンプーの原液を体に直接かけてゴシゴシ洗うのではなく、あらかじめしっかり泡立ててから体に塗り広げましょう。
やり方はシンプルです。洗面器などにシャンプーを500円玉大ほど入れ、水で湿らせたスポンジでしっかり泡立てます。スポンジは車用のものでも洗顔用のものでも構いません。100円ショップで購入できるものでも十分です。
きめ細かい泡ができたら、皮膚をこすらないように、体全体へマッサージするようにやさしく塗り広げていきましょう。
なお、「シャンプー剤を塗ったあと、5分・10分置いてください」と言われることがありますが、実際には難しいと感じる方も多いでしょう。気になる部分から順番に塗っていけば、全身に塗り終える頃には最初に塗った部分にも自然と時間が経っているため、それで十分です。

シャワーの温度は、犬の体温(38〜39℃)より低い35℃前後のぬるま湯がおすすめです。手にかけて「少しぬるいかな」と感じるくらいを目安にしましょう。
熱いお湯を使うと、温泉や熱いお風呂に入ったときに人が肌のかゆみを感じるのと同じように、犬の皮膚に刺激となり、かゆみを引き起こすことがあります。
乾かす際も同様です。熱い風を長時間当てると皮膚への刺激となり、かゆみを悪化させることがあるため、低めの温度を意識してください。
シャンプーは、「予洗い」と「本洗い」の2回に分けるのがおすすめです。
予洗いでは、体の表面についた汚れや皮脂を落とします。このときは、ご自宅で使用しているシャンプーや、市販のペット用シャンプーを使用しても構いません。
その後、本洗いでは、動物病院で処方された薬用シャンプーなどを使用します。薬用シャンプーは市販のシャンプーに比べて費用がかかるため、予洗いで使うのはもったいないでしょう。あらかじめ予洗いで表面の汚れを落としておくことで、薬用シャンプーの成分が皮膚全体に行き渡りやすくなり、必要以上に量を使わずに洗えます。
その結果、薬用シャンプーを無駄なく使うことができ、長持ちにもつながります。

ここまでご紹介したコツを踏まえた、基本的なシャンプーの流れは次の3ステップです。
予洗いは3分ほどを目安に行い、その後、本洗い、すすぎへと進みます。
小型犬やシャンプーに慣れている子であれば、予洗いから本洗い、すすぎまでは10分前後、乾かすところまで含めても30分以内を目安にするとよいでしょう。


皮膚病の治療を目的としたシャンプーでは、「きれいに乾かすこと」よりも、「皮膚に負担をかけないこと」を優先することが大切です。
熱いドライヤーで無理に乾かしすぎて皮膚に負担をかけるくらいであれば、まずはタオルドライをしっかり行い、必要に応じて低めの温度のドライヤーを使用しましょう。
タオルドライは、ゴシゴシこすらず、「トントン」と押し当てるように水分を吸い取るのがポイントです。バスタオルで大まかな水分を取り、その後マイクロファイバータオルで細かい水分を拭き取ると効率よく乾かせます。
その後、保湿剤を使用すると、シャンプー後の皮膚の乾燥対策にもつながります。

犬のシャンプー頻度は、皮膚の状態によって異なります。
| 皮膚の状態 | 頻度の目安 |
|---|---|
| 特に皮膚トラブルがない場合 | 2週間に1回程度(月2回) |
| かゆみなど皮膚トラブルがある場合 | 症状に応じて1週間に1回以上の場合もあります |
皮膚病の治療では、シャンプーの種類だけでなく、頻度も治療の一つです。そのため、皮膚にかゆみや赤みなどの症状がある場合は、自己判断で回数を増減させるのではなく、かかりつけの動物病院に相談しましょう。


自宅でシャンプーをしていると、赤みやかゆみ、フケ、湿疹など、普段は気づきにくい皮膚の変化に気づくことがあります。少しでも気になる症状があれば、早めにご相談ください。
宮田動物病院(静岡県沼津市)では、皮膚の状態を丁寧に診察し、それぞれの犬に合わせた治療やホームケアをご提案しています。薬用シャンプーの選び方や使用方法、日常のお手入れについてもお気軽にご相談ください。
また、皮膚科のセカンドオピニオンにも対応しております。現在治療中でなかなか改善しない場合や、治療方針について相談したい場合も、お気軽にお問い合わせください。

犬のシャンプーでは、洗い方だけでなく、シャワーの温度やシャンプーにかける時間にも気を配ることが大切です。シャワーは35℃前後のぬるま湯を使用し、シャンプーはスポンジでしっかり泡立ててからやさしく洗いましょう。また、予洗いをしてから本洗いを行うことで、薬用シャンプーをより効果的に使用できます。
また、シャンプー中に赤みやかゆみ、フケ、湿疹などの皮膚の異常に気づいた場合は、早めに動物病院へ相談することをおすすめします。
宮田動物病院(静岡県沼津市)では、皮膚病の診療はもちろん、皮膚科のセカンドオピニオンにも対応しております。愛犬の皮膚のことでお困りの際は、お気軽にご相談ください。
なお、本記事の内容は当院のYouTubeチャンネルでも動画で詳しく解説しております。泡立て方や実際のシャンプー方法をご覧になりたい方は、ぜひあわせてご覧ください。