この記事の執筆者
宮田 翔平
宮田動物病院院長。静岡県沼津市で60年以上続く地域密着の動物病院として、飼い主様に寄り添った丁寧な診療を心がけています。
「肛門腺の絞り方がわからない」「自宅でやってみたけど、うまく出なくて不安…」
そんなお悩みを抱えている飼い主さんは多いのではないでしょうか。
犬の肛門腺は、うまく排出できない状態が続くと破裂などのトラブルにつながることがあります。
本記事では、初心者向けの基本的な絞り方とテクニックをわかりやすく解説します。絞るべきタイミングや肛門腺破裂のリスクについてなど、飼い主さんが知っておきたい情報もまとめたので、ぜひご覧ください。
宮田動物病院(静岡県沼津市)では肛門腺絞りのサポートはもちろん、ご自宅でのケア方法のレクチャーも行っております。愛犬の肛門腺ケアにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

犬の肛門腺とは、肛門の左右にある一対の分泌腺で、「肛門嚢(こうもんのう)」とも呼ばれます。
肛門腺の位置は、肛門を時計の中心に見立てて「4時と8時の方向」。肛門腺から出る分泌液の出口は「3時と9時の方向」にあります。


肛門腺が溜まっているかどうかは、愛犬の行動にサインとして表れます。以下のような仕草が見られたら、早めに絞ってあげましょう。
気づかないうちに肛門腺が溜まりすぎてしまうと、肛門嚢が破裂して強い痛みが生じ、治療が必要になることがあります。
座ったまま前足で移動し、お尻を床にこすりつける「お尻歩き」は、肛門腺が溜まっている代表的なサインです。
ただしアレルギーなどの痒みが原因でお尻を擦っていることもあるため、肛門腺を絞っても改善しないときは獣医師に相談しましょう。
お尻をしきりに舐める・噛もうとする行動も溜まっているサインかもしれません。お尻の匂いを自分でクンクン嗅ぐ仕草が増えることもあります。
これらが頻繁に見られたら、分泌液による違和感を感じている状態です。放置すると肛門腺破裂のリスクが高まるため、早めにケアしてあげてください。

肛門腺絞りは、やり方やコツを覚えることで、ご自宅で対応できる場合もあります。初めての方は5つのステップを順番に試してみてください。
犬の肛門腺絞りで用意するものはガーゼ(またはティッシュ)、ビニール袋、ウェットティッシュなどです。分泌液は臭いが強く飛び散ることがあるため、ガーゼで肛門を覆いながら絞ると安心です。
慣れるまでは使い捨て手袋の着用もおすすめします。服や床につくと臭いが取れにくいので、お風呂場などで行うのが良いと思います。

愛犬を立たせた状態で、左手で尻尾を上に持ち上げます。肛門の形がキュッと縦に伸びるくらいまで持ち上げるのがポイントです。肛門腺の出口を確認しやすくなります。
ただし、無理に引っ張り上げたり尻尾を握り込みすぎると、腰を痛める原因になる可能性がありますので、根元をやさしく持ちましょう。

右手の親指と人差し指(もしくは中指)を肛門の「4時」と「8時」の位置に当てます。指先で小さな膨らみを感じたら、下から肛門に向かってゆっくり押し上げてください。
一気に押すのではなく、2〜3秒かけてじわじわと力をかけるのがコツです。
1回で出切らないことも多いため、2〜3回繰り返しましょう。肛門腺は左右に1つずつあるので、片側が終わったら反対側も同様に行います。
膨らみが感じられなくなれば絞り切れたサインです。何度やっても出ない場合や愛犬がひどく嫌がる場合は、無理をせず中止してください。
絞り終えたらウェットティッシュでお尻周りをきれいに拭き取ります。分泌液が残るとかゆみや皮膚トラブルの原因になるため、丁寧に拭いてあげましょう。可能ならば、洗い流すとよいです。

なお、肛門腺絞りの実際のやり方や、「なかなかうまく絞れない…」というときのポイントについては、当院「宮田動物病院」のYouTubeチャンネルで動画でも解説しています。気になる方はぜひご覧ください。

今回ご紹介した方法を試してもうまく絞れない場合は無理をせず、お近くの動物病院までご相談ください。
肛門腺の位置や深さには個体差があり、体の外側からではうまく排出しきれないケースもあります。特に、フレンチブルドッグやシュナウザーなどの犬種は、肛門腺が他の子に比べてやや奥に入っていることがあり、ご自宅でのケアが難しいことがあります。
当院では、獣医師が肛門腺の状態を確認したうえで、適切に対処しています。「正しくできているか不安」「一度やり方を見てみたい」という場合も、お気軽にご相談ください。
また、お尻を気にする様子が続く場合は、肛門腺のトラブルが起きている可能性があります。自己判断で無理に続けず、早めの受診をおすすめします。
肛門腺絞りの頻度は1ヶ月に1回が目安です。ただし、2ヶ月に1回に変えても問題ない子もいます。まずは月1回からスタートし、愛犬の様子を見ながら調整していきましょう。
トリミングサロンに定期的に通っている子であれば、トリミングとセットで肛門腺絞りを行ってもらえることがほとんどです。その場合は、トリミングのタイミングに合わせてしっかり絞ってもらうとよいでしょう。

犬の肛門腺絞りは、正しい位置と力加減を理解すれば自宅でも行えます。基本は「しっぽを持ち上げ、4時と8時の方向をやさしく押し上げる」ことです。
また、1〜2ヶ月に1回を目安に、トリミングと合わせてケアを行うことで、肛門腺トラブルの予防につながる場合があります。分泌液の色や形状の変化にも日頃から気を配り、異常を感じたら早めに獣医師へ相談しましょう。
宮田動物病院(静岡県沼津市)では、肛門腺絞りをはじめとした日常ケアをサポートしております。「自宅でうまく絞れない」「やり方が合っているか不安」という方も、獣医師が丁寧にレクチャーいたしますのでお気軽にご来院ください。
なお、本記事の内容は当院のYouTubeチャンネルでも動画で解説しております。獣医師が実践する肛門腺の絞り方が気になる方は、ぜひご覧ください。