この記事の執筆者
宮田 翔平
宮田動物病院院長。静岡県沼津市で60年以上続く地域密着の動物病院として、飼い主様に寄り添った丁寧な診療を心がけています。
前日から急性の頻回嘔吐と食欲廃絶を主訴に来院されました。
前日から頻回の嘔吐が続いており、来院時には元気・食欲ともに低下し、かなりぐったりした様子でした。
レントゲン検査および腹部超音波検査を実施したところ、腸閉塞を疑う所見が認められました。
しかし、異物による閉塞は強く疑われたものの、
を正確に把握することは困難でした。
特に大型犬では体格が大きいため、レントゲン検査や超音波検査のみでは病変の全体像を把握することが難しいことがあります。
手術計画を立てるため、CT検査を実施しました。
その結果、胃内および十二指腸から空腸にかけて広範囲に異物が存在し、消化管閉塞を起こしていることが確認されました。
自然排出は困難と判断し、緊急で開腹手術を実施する方針としました。
CT検査によって異物の位置や閉塞範囲を術前に把握することができたため、より正確な手術計画を立てることができました。

開腹手術を実施し、閉塞の原因となっていた異物を摘出しました。
術前にCT検査で異物の位置や閉塞範囲を把握できていたため、速やかに病変部へ到達することができました。
消化管全体を確認し、その他の閉塞部位がないことを確認したうえで手術を終了しました。

術後の回復は良好でした。
翌日から食欲がみられ始め、徐々に食事量を増やしていきました。
術後5日目には十分な食事摂取と全身状態の改善が確認できたため退院となりました。
その後の経過も順調で、抜糸時にも特に問題は認められませんでした。
現在も良好な状態を維持しています。
異物による腸閉塞は、治療が遅れると腸の壊死や腹膜炎につながることがある緊急疾患です。
レントゲン検査や超音波検査で診断できるケースも多くありますが、大型犬では体格の影響により評価が難しいことがあります。
CT検査を行うことで、
をより正確に把握することができます。
結果として、手術時間の短縮や体への負担軽減につながる場合があります。

急な嘔吐や食欲低下が続く場合、異物による消化管閉塞が隠れていることがあります。
果物の種やペットボトルのキャップ、おもちゃ、布製品など、動物は私たちが思っている以上にさまざまなものを飲み込んでしまうことがあります。
特に1歳未満の子犬や子猫、若齢の動物では好奇心が旺盛なため、誤食のリスクが高くなります。
当院でも、飼い主様が気付かないうちに異物を飲み込んでしまい、嘔吐や食欲低下をきっかけに発見されるケースを数多く経験しています。
当院ではレントゲン検査や超音波検査に加え、必要に応じてCT検査を組み合わせることで、より正確な診断と治療計画の立案を行っています。
「何かを飲み込んだかもしれない」「急に何度も吐いている」といった場合は、早めの受診をおすすめします。